先行SE で使えるBOM システムをさがせ!
先行SEを指向するにあたって、即座に問題視されたのが当時設計部門で運用していたBOMシステムだった。プロセス改革にITによる支援は不可欠である。加えて今回はグローバルでの運用が前提となる。当時のシステムはその要件に応えられるものではなく、また設計者からの評価も芳しくはなかった。そこでプロジェクトでは、新たなBOMシステムへの移行も、アクションアイテムの一つとして設定した。
プロジェクト初期段階においては、外部コンサルタントも動員して、現状課題の洗い出しに注力した。その過程で「正しい情報管理・活用」が出来ていないことが露呈し、新システムでは下記の2つを目指すことになった。
①製品情報の一元管理
②原価推移と日程進捗の見える化
音と振動で運転を支援するシートシステム「InfoSeat™」
「安全性への要求が高い自動車用シートという分野において、ただいたずらにコスト削減だけを指向するわけにはいかないんですよ。原価情報を精緻に管理するだけではなく、製品情報との関連をきちんとコントロールすることによって、はじめてコストとスペックを高度に両立させることが出来るのです。このような我々の要求に応えてくれるシステムが、はたして世の中に存在するのか。場合によっては、フルカスタムでも仕方ないかもと考えていました。」
システム選定にあたっては、PIM(ピーアイエム)という別プロジェクトが立ち上げられ、その中のワーキング5にてBOMシステム導入が推進されることになった。
システム選定は長期に及んだが、多くの候補の中から最終的にVisual BOMが採用された。「設計初期フェーズからの先行SE支援」を、コンセプトのみではなく機能レベルでも実現していることが、設計現場からの熱い支持を獲得したのだ。
グローバル運用を支えるスケーラビリティとフレキシビリティ
しかしVisual BOMは、同社の回線状況を考慮した改修を実施することで、この要件もクリアすることに成功する。欧州や北米といった遠隔地でのトライアルにおいても、支障なく運用できることが確認された。こうしてVisual BOMは、約1年の構築期間を経て2017年にカットオーバーを迎えた。プロジェクト責任者の 同社 取締役 常務執行役員(当時)島﨑満雄氏はこう語る。
「システム検討段階から構想していた要求に対し、積極的に取り組んで結果を出してきた図研プリサイトチームと、高い機能性・柔軟性を兼ね備えたVisual BOMを高く評価しました。」
CADを源泉とするデジタルプロセスチェーンの確立
「当社ではTeamcenterをPDMとしてCADデータの一元管理を行っています。Visual BOMをこのPDMと連携させることで、シームレスなデータ連携環境を構築しました。CADデータ活用を特徴とするVisual BOMの強みを活かしきるために、また設計者にとってのメインシステムであるCADとの共存運用を確立するために、この連携は重視したポイントでした。」
そう言って岡本氏は胸を張る。
Visual BOMはこれまで同社において、国内外8つの開発拠点で運用されてきた。更に現在は、同社子会社であるTF-METAL社への展開に向けたエンハンスも進められている。