Case study
導入事例

Visual BOM

工作機械メーカーのPLM導入事例(株式会社岡本工作機械製作所)

株式会社岡本工作機械製作所は、平面研削盤で国内シェア1位を誇る工作機械メーカーである。工作物の表面を磨く技術を極め続けた、モノを平らにする技術のプロフェッショナルだ。1926年の創業以来、国産初の歯車研削盤から始まり、各種研削盤や半導体装置分野において高品質・高精度な製品を提供し、次世代のものづくりに貢献してきた。

長年にわたって培ってきた技術と品質を武器に、国内外に販売・サービス拠点を展開し、世界中の顧客から信頼を獲得している。「技術は正しく」を社是とし、日々のたゆまぬ研究・開発を続ける同社は、正に砥粒加工で世界に類を見ない「総合砥粒加工機メーカー」である。

そんな同社は、3D設計の推進をはじめ、設計業務の効率化とさらなる向上を目指して2021年6月に「Visual BOM」を導入した。今回、本製品導入の中心を担った同社製品開発部 部長の𠮷田様と、同部デジタル推進係の太田様、佐竹様に導入前に抱えていた課題や、導入後の効果について詳しくお話を伺った。
  • CNC精密平面研削盤「PSG126CA-iQ」
CNC精密平面研削盤「PSG126CA-iQ」

お客様の企業プロフィール

会 社 名 株式会社岡本工作機械製作所
本  社 群馬県安中市郷原2993
創  業 大正15年11月
設  立 昭和10年6月
資 本 金 97億8,370万円
事業内容 各種研削盤・半導体関連装置の製造・販売
お話を伺った方
技術開発本部 製品開発部 部長
𠮷田 裕 様

技術開発本部 製品開発部
製品開発課 デジタル推進係 係長
太田 亘 様

技術開発本部 製品開発部
製品開発課 デジタル推進係
佐竹 志保 様

(取材年月日:2024年07月16日)
採用いただいたソリューション
Visual BOM

設計の重複と部品表作成の手間に課題感

2015年7月頃より、岡本工作機械製作所は、3D設計の推進をはじめ、設計業務の効率化とさらなる向上を実現すべく、システムの導入を進めている。本検討の中心人物であった製品開発部 部長の𠮷田氏は、設計の重複に課題感をもっていたと話す。

「当社は製品の機種が非常に多いのですが、各機種の部品表を全くと言っていいほど共有していませんでした。図面を探すよりも新たに作図した方が早い、という文化があり、複数の機種に同じ部品が使われているにも関わらず、各担当者がそれぞれ作図しているという状況でした」(𠮷田氏)  

また、𠮷田氏は部品表の作成作業にも課題を感じていたという。「CADで図面を作成し、その後Excelで部品表を作成していました。部品表に相当する情報をCADデータに登録しているにも関わらず、Excelを作成しなければいけない部分が非常に無駄だと感じていました」
  • 技術開発本部 製品開発部 部長 𠮷田 裕 氏
技術開発本部 製品開発部 部長 𠮷田 裕 氏
このような課題を抱える中、3D設計の推進を相談していた大塚商会からVisual BOMを紹介されたところ、前述の課題が解決できるシステムだと𠮷田氏は感じた。その後、他社システムとの比較・検討の末、2021年6月にVisual BOMの採用を決定した。

「3Dデータ(XVL)を部品表の隣に並べて表示できることが決め手となりました。当社は部品を設計する際にポンチ絵と呼ばれる簡略図を描き、ポンチ絵で部品イメージを共有する習慣があります。Visual BOMは部品の検索結果から即座にXVLを参照できるため、目的の部品が検索しやすくなると感じました」(𠮷田氏)  
  • システムの全体像
システムの全体像

設計業務の効率化だけでなく、流用設計の促進やミスの軽減も実現!

Visual BOM 導入後、その効果は確実に現れつつある。CADやPLMなどシステムの評価や社内展開を担当する製品開発部 製品開発課 デジタル推進係 係長の太田氏は導入後の効果について次のように語った。

「逆展開機能を活かして、製品を横断した部品情報の共有ができるようになりました。導入前は既存部品を流用するようにオーダーがあっても、各機種がどのような部品を使っているのか、一つひとつ調べないと分からず時間がかかっていました。逆展開機能なら、流用設計をしたい時にすぐに確認ができます」(太田氏)
  • 技術開発本部 製品開発部 製品開発課 デジタル推進係 係長 太田 亘 氏
技術開発本部 製品開発部 製品開発課 デジタル推進係 係長 太田 亘 氏
太田氏と同じデジタル推進係に所属し、設計業務も担当している佐竹氏は、部品表の作成作業の効率化が図れたと話す。

「SOLIDWORKSで作成した3D形状やアセンブリの構成ツリーを、品名などの部品情報やその個数を含めた部品表として取り込めるため、大幅な時間短縮になりました。また、3D形状のロード時間が速く、ビューイングも軽快なXVLにも価値を感じています」(佐竹氏)

Visual BOMは、データベースに登録している部品表と3D形状をEXCELに出力できるオーサリング機能を搭載している。これにより、外部の協力会社など、Visual BOMを直接参照できない方にも、部品表と3D形状の共有を図ることができる。佐竹氏はこの機能が非常に便利だと話してくれた。

「これまで、一つひとつ手打ちで作成していたExcelが、ボタン一つで出力できるようになりました。自社のExcelフォーマットで出力できる点も非常に便利だと感じています」(佐竹氏)
  • 技術開発本部 製品開発部 製品開発課 デジタル推進係 佐竹 志保 氏
技術開発本部 製品開発部 製品開発課 デジタル推進係 佐竹 志保 氏
他にも、部品表の履歴管理機能について佐竹氏は「導入前はExcelファイルで部品表を管理していたため、古い版で手配をしてしまうミスが稀に起こりました。Visual BOMは古い版で手配をしようとするとアラートを出してくれるので、こういったミスがなくせます」と語ってくれた。

3Dを活用して、設計者がより集中できる環境を目指す

現在、同社では技術開発本部約100名を中心にVisual BOMの全社的な利用を進めている。𠮷田氏は、3Dをさらに活用して、設計者の負担を減らしていきたいと今後の展望を教えてくれた。

「現在、組図の作図時間の捻出が課題となっており、作業現場に3Dデータが見られるPCを設置すれば、作図作業、組立作業の効率化が進められるため、対応工数の削減が期待できます。対応工数が削減できれば、設計者がその時間を他の業務に充てることができます」

最後に、今後のVisual BOMに対する期待を伺ったところ佐竹氏から次のようなコメントをいただいた。

「オーガナイザー(Visual BOMの管理者ツール)がすごく充実しています。SQLやプログラミングの知識がなくても、属性値の連動など、アプリケーションで簡単に設定できる点が魅力です。オーガナイザーの機能がどんどん充実すると、管理者の立場としてはとてもありがたいなと思います」(佐竹氏)
  • (左から)佐竹氏、𠮷田氏、太田氏
(左から)佐竹氏、𠮷田氏、太田氏
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