総合耐火物メーカーのナレッジ活用事例
品川リフラクトリーズ株式会社
岡山県備前市にある同社の技術研究所では、研究ノートや実験データなど、社内でオーソライズされていない文書の有効活用を進めるため、2019年11月に「Knowledge Explorer」を導入した。
今回、企業における知的財産の保護、化学物質規制の管理、ならびに研究所で利用する業務システムの導入を担う、同社 技術研究所 技術部 部長 森 淳一郎氏にインタビューを行い、Knowledge Explorer導入の狙いや今後の期待について話を伺った。
お客様の企業プロフィール
- 会社名
- 品川リフラクトリーズ株式会社
- 本社
- 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル8階(技術研究所:岡山県備前市伊部707)
- 事業内容
耐火物の製造販売、工業窯炉の設計施工、ファインセラミックスの販売、他
お話を伺った方
-
技術研究所 技術部 部長
森 淳一郎 様
2021年1月15日
採用いただいたソリューション

AI実装フルオート型
ナレッジ活用ソリューション
情報共有を妨げる壁は「膨大な検索結果」
さまざまな製品の研究開発を進めるため、社内情報共有の重要性が高まる一方、同社の技術研究所では、当時利用していた全文検索システムに課題を抱えていた。「キーワードを含む文書の検索結果が多すぎて、目的とする文書が探し当てられないという問題がありました」(森氏)
また、同研究所では、全文検索システムとは別に文書管理システムを導入しているが、こちらに関しても次のような課題があった。「マニュアルやISO関連の書類など、オフィシャルな文書の改訂履歴を管理する目的でシステムを構築しているため、それら文書を作成するまでに使われた一次文書や二次文書、実験や不具合のデータを記載した研究ノートなど、『オーソライズされていないが、日々の業務で参照したい文書』の検索に活用の幅を広げることが難しかったのです」(森氏)
シンプルな操作で、「見つからない」が「見つかる」に
その後、同年11月に正式採用が決定し、およそ1カ月程度で技術研究所内の3つの研究部門にて利用が開始された。現在は、約7万件の文書ファイルを対象に、70名ほどが利用しているという。
利用開始後、研究所内では次のような変化があったという。「従来システムが目的とする文書を探し当てられなかったことにより、検索システムそのものに期待していなかった人達が、Knowledge Explorerを使い始めています。また、目的とする文書のヒット率が上がったことにより、研究部門内におけるKnowledge Explorerの認知度があがり、実際に助かっているというような話も聞いています」(森氏)
プッシュ通知が社内情報共有を活性化
ユーザーが存在すら知らなかった資料をAIが拾い上げることで、新たな気付きが生まれることを期待して開発されたプッシュ通知であるが、品川リフラクトリーズにおいては、別の効果を生み出している可能性も考えられると、森氏は次のように話す。「プッシュ通知が届くことで、今まで検索システムを立ち上げなかった人達が『これは何だろう』と思って押した結果、Knowledge Explorerの存在と効果を知り、自ら積極的に使うようになったのかなと思います」(森氏)
同社において、プッシュ通知は、ユーザーに気付きを与えるだけでなく、検索システムの利用者増加、言い換えれば、社内情報共有の活性化につながる機能だともいえるだろう。
これからの技能伝承を支えるツールとしての期待
「暗黙知から形式知への変換、すなわちベテランが持っている知識をテキスト化してサーバーに蓄積し、Knowledge Explorerのような仕組みで共有する作業が、今後重要になってくると考えています。」(森氏)
Knowledge Explorerの導入によって、同社の技能伝承がどのような進展を遂げるのか、品川リフラクトリーズの今後に注目したい。