Case Study

導入事例
2023.01.12 Visual BOM

農業用ドローンメーカーのPLM導入事例

株式会社ナイルワークス

 

ナイルワークスは、完全自動自律飛行型の農業用ドローン開発を手掛けるメーカーだ。2015年に設立した同社は「新しい農業をつなぐ」をミッションに掲げる日本発のドローンスタートアップであり、これまでに全国延べ10,000ha以上の防除実績を上げている。ドローンに搭載した専用カメラで作物の近接画像を取得し、赤色光吸収率(光合成の活発度合)や有効受光面積率(太陽光を直接受けている葉の割合)を飛行しながら測ることも、同社のセンシング技術により実現している。

また、ドローンで撮影した空撮画像、センサーデータ、衛星データ、気象情報、作付品種、土壌、農業資材、作業記録・作業計画など、農業現場における様々なデータを一元管理できるデジタル農業プラットフォーム「NileBank(ナイルバンク)」の展開や、ディープラーニングによる病害初発検出、画像解析による作物状態予測など、AI技術を活用した分析ソリューションの開発も進めている。まさに、農業DXのリーディングカンパニーとして、農業全体が抱える課題の解決に貢献している。

  • 業界初完全自動飛行農業用ドローン「Nile-T20」
業界初完全自動飛行
農業用ドローン「Nile-T20」
そんな同社は、ドローンの電子回路基板に実装する部品管理のプラットフォームとして、2019年5月に図研プリサイトのPLMシステム「BOM Producer」を導入した。今回、同社のドローン事業部において回路設計を担当する宍戸様、社内情報システムを担当する住本様にインタビューを行い、導入前に抱えていた課題や、導入後の効果について詳しくお話を伺った。

お客様の企業プロフィール

会社名
株式会社ナイルワークス
本社
東京都千代田区神田錦町1-4-3 神田スクエアフロント2F
設立
2015年1月7日
社員数
34名
事業内容

農業用ドローンの開発、製造、販売<br />デジタル農業・農業DXにおける技術開発、サービス提供

お話を伺った方

  • ドローン事業部 シニアエンジニア

    宍戸 淳一 様

  • 財務・総務管理部 社内情報システム担当

    住本 浩紀 様

2022年12月06日

採用いただいたソリューション

Visual BOM

モノづくりを強力に支援する
PLMソリューション

Excelによる膨大な数の部品管理に限界

ナイルワークスが提供する農業用ドローンの特長は、完全自動飛行で防除作業ができることだ。「圃場の形を測量すれば、飛行経路が自動生成されます。あとはタブレットで開始ボタンを押すだけで自動飛行を開始します」と、同社 財務・総務管理部 社内情報システム担当の住本氏は教えてくれた。また、従来からある防除用のラジコンヘリは、免許が必要で操縦技能も求められるが、同社のドローンは短期間の講習で、操縦が得意ではない方でも運用が可能だ。

完全自動飛行や容易な操作性を実現するのは、ドローンに搭載される各種ソフトウェア、ならびに、それらを動作させるための電子回路基板(PCB)だ。PCBは、絶縁体でできた板の表面・内面に、集積回路、抵抗器、コンデンサなどの多くの電子部品が実装される。同社のドローン1機に搭載されるPCB上の電子部品の数も1,000点以上あり、部品種も優に100を超える。

  • 財務・総務管理部 社内情報システム担当 住本 浩紀 氏
財務・総務管理部 社内情報システム担当
住本 浩紀 氏
PLMシステム導入前、電子部品の管理をExcelで行っていた同社は、その運用に限界を感じていたという。電子回路設計を担当する 同社ドローン事業部 シニアエンジニアの宍戸氏は、当時の課題を次のように振り返った。

「それこそ何十種類もある部品の中で、どれを使うのか選ぶのが大変でした。また、以前使ったことがある部品なのか、過去の部品表Excelを全て開かないと確認できず、使用する部品の統一を検討したくても手が回らない状態でした」(宍戸氏)

このような状況の中、宍戸氏は自ら声を上げてPLMシステム導入の必要性を社内に訴えた。2019年4月、同社は図研プリサイト含む数社に声をかけ、システムの比較・検討を開始し、翌月にはBOM Producerの導入を決定した。宍戸氏曰く「他社システムだとフルカスタムしなければ実現できない、電子部品管理に特化した機能が最初から実装されていた」ことが決め手になったとのことだ。

  • ドローン事業部 シニアエンジニア 宍戸 淳一 氏
ドローン事業部 シニアエンジニア
宍戸 淳一 氏

従来運用の作業工数を90%削減!

システム導入後、ナイルワークスは回路設計の部品表管理でBOM Producerを活用している。最も利用しているのは「部品表の自動作成」だと宍戸氏は話す。図研プリサイトは、ネットリストやパッケージ情報など、回路図から出力した各種情報を統合して、部品表としてシステムに自動登録する機能を同社システム内に構築した。これにより、部品表作成にかかる手間削減と、手作業により発生するミス防止を実現している。

回路図のリファレンス番号を部品表明細に登録できる機能も便利だという。宍戸氏曰く「電子部品の諸元値の表記が担当者ごとに異なっても、リファレンス番号の順序で並べ替えることで(構成部品と回路図の対応など)容易に確認できる」とのことだ。

また、「0.1kΩ」と「100Ω」のような諸元値の単位表記違いを統一できるのも役に立っているという。「例えば、10kΩの抵抗で利用実績のある部品を絞り込み、新規設計でどの部品を割り当てるのか選定しやすくなった」と宍戸氏は教えてくれた。

他にも、リファレンス単位や型番単位など、指定した値で部品表の行を集約表示できる機能により、基板実装メーカーに渡す部品表を別途作成する手間が無くなったという。導入前に一番の課題として抱えていた「使用する部品の統一」も、諸元による絞り込み検索や逆展開機能により着実にクリアしているとのことだ。

BOM Producerの導入により、宍戸氏は「データとして持っている訳ではないですが、イメージ的には従来の運用に比べて90%くらい作業工数を削減できました」と述べた。

  • リファレンス番号、抵抗値、型番など、指定した値で部品の絞込検索や表示順序の並べ替えができる
リファレンス番号、抵抗値、型番など、指定した値で部品の絞込検索や表示順序の並べ替えができる

3D CADとの連携で更なる活用へ

主に回路設計の電子部品管理においてBOM Producerを活用している同社だが、今後は「メカ設計が利用しているSOLIDWORKSと連携して、活用の幅を広げていきたい」と住本氏は話す。図研プリサイトのPLMシステムは、3D CADデータから部品表を自動作成することが可能であり、大規模な改修なく同社のリクエストに答えることが可能だ。

最後に、BOM Producerや図研プリサイトに対する今後の期待を伺ったところ、お二方から次のようなコメントをいただいた。

「現在のシステムはオンプレミスなので、自社でサーバーを管理しています。OSのアップデートやバックアップ作業など、自社でのメンテナンスが必要なので、ゆくゆくはシステムがSaaS化されると嬉しいです」(住本氏)

  • (左から)住本 浩紀 氏 、宍戸 淳一 氏
「不便を感じているところがあまりなく、これといったリクエストはありません。強いて言えば、Javaのバージョンを誤って更新してしまったところ、サーバーにつながらなくなったことが過去にあったので、このような事態が起こらないシステムになると良いです」(宍戸氏)
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