電源装置・電子計測器メーカーのナレッジ活用事例
菊水電子工業株式会社
変化の速いエレクトロニクス業界において、同社は近年、カーボンニュートラルや電動化を推進する分野に注力しており、新製品である双方向大容量直流電源「PXBシリーズ」を中心に、持続可能な社会の実現に貢献している。
そんな同社は、開発業務の効率化を目的としたグループ活動を進める中、社内に存在する開発ドキュメント活用の課題を解決するため、当社のナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」を導入した。今回、本製品導入の中心を担ったお三方に、導入の経緯や効果についてお話を伺った。
お客様の企業プロフィール
- 会社名
- 菊水電子工業株式会社
- 本社
- 菊水創発センター:横浜市都筑区東山田1-1-3
- 設立
- 菊水創発センター:横浜市都筑区東山田1-1-3
- 社員数
- グループ全体:322名(2023年3月現在)
- 資本金
- 22億125万円
- 事業内容
各種電子計測器、産業用電源装置、ソフトウェアの設計、製造、販売及び輸出入
お話を伺った方
-
開発推進部 開発管理課 課長代理
小原 典和 様
-
応用製品開発部 応用開発二課 課長代理
後藤 陽 様
-
ソリューション推進部 営業支援課
西村 明男 様
2024年08月23日
採用いただいたソリューション
開発ドキュメントを活用したいが、どこにあるか分からない・・・
菊水電子工業は、計測と電源のエキスパートである。その製品は私達の生活に欠かせない電気製品の安全を守り、生活を影で支えてくれている。そんな同社は2018年頃、製品開発にかかる時間を短縮するため、開発部内で開発業務効率化を目指したグループ活動を立ち上げた。
同社開発推進部 開発管理課 課長代理の小原氏は当時の様子をこう振り返った。
「社内で大規模な改善活動を行っていた時期でした。設計ドキュメントや過去のノウハウを開発に活用できていないという問題があり、既存の資料の活用方法について検討が始まりました」(小原氏)
「文書管理の仕組みがなく、個々の管理に依存していました。他の人が管理しているものは何がどこにあるか分からず、過去の設計ドキュメントや実験結果のレポートなどの情報を探すのに膨大な時間がかかっていました。中途入社の方は調べ方も分からず、担当者以外は情報の在り処が分からないという状況にありました。そこで、データを容易に探すことができるソリューションを探していました」(西村氏)
このような課題への対応策を検討する中で、同社はAIを活用してナレッジマネジメントの課題を解決する、図研プリサイトの当時としては画期的なシステム「Knowledge Explorer」を知る。その後、他のシステムとの比較・検討を経て、2019年12月頃に導入を決定した。
当社製品を選んだ理由について、西村氏は「動作が速く、全文検索がスピーディーに行えること、さらにファイルサイズに制限がない柔軟性が魅力でした。また、Visual BOMとの連携を見越した将来性も決め手の一つでした」と語った。
古いデバイスドライバのソースコードを発見し、保守作業の時間を大幅に短縮!
同システムを社内に展開する立場に加え、自身も業務で利用している応用製品開発部 応用開発二課 課長代理の後藤氏は、導入後の具体的な効果について、次のように話してくれた。
「若手や中途入社の社員が特に活用していると感じています。導入前は、引き継ぎが不十分な古い製品保守を行う際、過去の資料を探すのに非常に時間がかかっていました。現在は、過去製品の開発に携わっていなかった社員でも過去の資料を即座に探せるようになりました。古いデバイスドライバのソースコードを若手社員が私より先に見つけたときは非常に驚きました」(後藤氏)
「例えば、熱実験では、温度変化による特性の変化を観測します。最終結果はしっかりと共有されるのですが、実験の過程や実力値はサーバーにレポートが置かれるものの、どこに保存されているのか分からない状況でした。Knowledge Explorer導入後は、過去の実験レポートが確実に探せるようになり、非常に便利だと感じています」(西村氏)
現在、同社では約100名の開発メンバーがKnowledge Explorerを利用しており、130万件を超える開発ドキュメントの活用が進んでいるという。今後、検索対象をSharePointにも拡大し、全社的にKnowledge Explorerを活用していきたいとのことだ。
話しかければ探してくれる究極の検索システム化に期待
「現在は主に開発部門で使用されていますが、もっと広く展開したいですね。私は営業支援の業務を担当しているので、蓄積したお客様の問い合わせデータから過去の類似事例を素早く確認できるようにしたいです」(西村氏)
「プッシュ通知の精度がさらに向上すれば良いと思います。AIが社内の検索履歴を学習して、より正確で有用な提案ができるようにしてほしいです」(小原氏)
「生成AIと融合して、例えば話しかけるだけで必要な資料を探し出してくれるようなシステムになると良いですね。まるで書庫を管理するコンシェルジュのように。私が求めるのはそんな究極の検索システムです」(後藤氏)