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コンカレントエンジニアリング

更新:2021/07/02 15:00

コンカレントエンジニアリング(英:concurrent engineering)とは、製品開発における複数のプロセスを同時並行で進め、開発期間の短縮やコストの削減を図る手法のことである。


各部門間での情報共有や共同作業を行い、前工程の完了を待たずに並列に業務を進めたり、後工程の持つ知見を前工程にフィードバックする。例えば、製造時の情報を設計にフィードバックして、量産しやすい構造を意識した設計を行うことなどがこれにあたる。


コンカレントエンジニアリングの思想は、元々1980年代初頭においてアメリカの自動車産業から生まれたが、価格競争や開発スピードで競合他社に勝つために、現在では業界を問わず幅広く導入されている手法となっている。

コンカレントエンジニアリングのメリットとは?

コンカレントエンジニアリングの代表的なメリットとして以下が挙げられる。


  • 開発スピードの向上とコスト削減
    一般的な開発と違い、各工程の作業を同時並行的に行い、開発に掛かる期間を大きく短縮することができ、また、フロントローディングによる品質検討に関する業務を前倒しで行うことも可能となるため、設計段階から問題点を発見・修正できることで工数を減らして開発コストを削減することができる。


  • 多品種生産に対応可能
    設計の初期段階から他部門も含めて構想と工程をワンストップに考えることで、複数の製品を同時並行で開発できる点もメリットとなる。例えば、設計や生産プロセス、また使用する部品などの共通化によって、ひとつの工程で複数ラインを同時並行するプロセス設計を実現すれば、多品種少量生産にも対応が可能となる。

コンカレントエンジニアリングを実現するためには?

離れた拠点間で作業を同時並行化するため、情報共有や機能間コミュニケーションをサポートするCAD/CAM/CAE(製造におけるコンピュータ支援)やPDM(製品情報管理)といったIT導入が不可欠となる。また、プロセス設計面では手戻り(設計変更)防止がポイントとなるため、手順整備だけでなく、レビューや意思決定のルール化も重要となる。


当社顧客も、設計上流段階から他部門の知見も結集してQCDをつくりこむ、いわゆる「先行SE(サイマルテニアス・エンジニアリング≒コンカレント・エンジニアリング)」を目指して、製品構成管理による拠点間の情報共有に加えて、過去資産の再利用を実現する構成流用機能、設計部門で作成された3D CADデータを全ての部門で共有可能にする3D活用機能など、数多くの先進的な機能を搭載している当社PLMソリューション「Visual BOM」の活用により、先行SE開発の実現を行っている。

まとめ

今後、技術の進歩や製造手法の改良に伴い、ますますコンカレントエンジニアリングの重要性は増すと言われ、産業力回復の手段として期待が高まっている。コンカレントエンジニアリングを成功させるためにも、ITツール導入以外に設計・生産に関する豊富な知識であったり、部門間での密な連携が必要不可欠となる。