著者:図研プリサイト 末永 真一
2022/02/24 09:00関連キーワード:
- BOM
- 部品表
- 生産準備BOM
- 号機BOM
- 生産BOM
- サービスパーツBOM
- 保守BOM
- PLM
コラム
前回(記事はこちら)は、広義に「E-BOM」と呼ばれる部品表を3つに分類して説明しました。今回は、広く「M-BOM」「S-BOM」と呼ばれる部品表を当社なりに分類しました。
まずは、広義に「M-BOM」と呼ばれる部品表を3つに分類し、それぞれのBOMについて解説していきます。
設計完了後、量産準備段階で作成される生産管理用のBOMです。
当社、あるいはPLMベンダーがM-BOMと称しているのは、概ね生産準備BOMにあたります。生産工場の能力やキャパシティを考慮し、次のような製造方法を決定することを目的とします。
E-BOMを元に各ユニット、部品をどの工場で、どのライン(工程)で、どの材料を用いて、どのサプライヤから購入し、どのような加工 or 組み立て工程で製造するのかをBOMに登録します。
1つの製品を複数の工場で製造する場合がありますが、工場ごとに設備やラインが異なるため、製品構成を工場ごとに個別に登録できるようにしたいとのニーズがあります。(E-BOMは1つの製品に対して1つの製品構成、生産準備BOMは工場ごとにN個の製品構成となります)
生産準備BOMは、生産管理部門が主管となって作成するケースが多いですが、調達部門や生技部門など、関連する部門がそれぞれの検討結果のアウトプットとして登録するケースもあります。
量産準備段階で作成される出荷時点のBOMです。
生産準備BOMをベースに生産号機ごとの構成を管理することが目的となります。
工場部門の裁量で生産号機ごとに適用する部品を変更するなどした場合に生産号機ごとの構成を管理します。受注BOMと同様に品番は変更せずに品番+製造番号(号機番号)でモノを特定します。
量産段階で作成される生産用のBOMです。
量産後、生産計画に合わせて、生産に必要な部品を手配することが主な目的となります。
生産準備BOMを元に作成しますが、設計変更については、緊急性と部品在庫の状況を見て切り替えるタイミングを調整する必要があります。在庫を廃棄してでもすぐに切り替えを行うケース(即切り替え)や、在庫を消化してから切り替えを行うケース(ランニングチェンジ)があります。
E-BOMや生産準備BOMは設計変更の適用が終わった状態で最新版として管理されますが、生産BOMでは必ずしも全ての設計変更の適用が終わっているとは限らないところがポイントです。
生産BOMの場合、構成情報は版単位ではなく変更適用の都度、日時単位で管理されます。
つづいて、保守や点検などのサービスで使われる「S-BOM」を分類し、それぞれのBOMについて解説していきます。
設計段階で、サービスパーツ手配用として登録されるBOMです。
製品出荷後、アフターサービス時にサービスセンターやパーツセンターにて消耗部品など交換部品や交換ユニットを手配するために利用するBOMです。
設計部門が作成し、サービス部門が交換部品の手配に利用します。E-BOMとは異なり、交換対象となる部品のみ登録されます。また、交換時に必要となる治具などもセットで登録される場合があります。
製品出荷後、修理・補修時にメンテナンスされるBOMです。
現地での修理履歴など出荷先の構成を管理することが目的となります。
一般的に保守サービス部門が主管となって作成します。部品やユニットを交換した際など、現地の製品構成としてBOMに反映します。納入先ごとに異なる構成を持つことから個別受注型のお客様に多く存在します。こちらも受注BOM同様、品番+受注番号で管理されるケースが多くあります。
いかがでしたでしょうか?
BOMと一口に言ってもさまざまな用途、形態が存在することがおわかりいただけたかと思います。必ずしもこの定義に収まらないケースもあるかと思いますが、BOMの導入・検討を行う上で少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
また、本コラムでご紹介したBOMの管理は、すべて当社にてシステム構築実績がございます。BOM管理に関するお悩みやお困りごとをお持ちの方は、ぜひこちらのフォームからお気軽にご相談くださいませ。