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コラム
※ 本記事は、昨年ご好評いただいたセミナー「いまさら聞けない!PLMって何のため?」をコラム化したものです。
製品情報のデジタライゼーションに不可欠なPLMの必要性は、昨今の情勢からも高まっています。しかし、次のようなお悩みや疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
本コラムでは、PLM導入検討に際して社内で共有すべき目的と効果について、わかりやすく解説いたします。
早速ですが、製造業の情報システム環境における、PLMの位置付けを示したのがこちらのイラストです。
ちょうど、CADとERP(生産管理、原価管理)をブリッジするポジションとなります。PLMは、品目情報、および関連する図面やドキュメントを基本データとして、E-BOM(設計部品表)やM-BOM(生産部品表)といった製品構成情報を管理します。これがPLMの標準的な構成要素となります。オプションを加えて、様々なバリエーションを展開することも可能ですので、お客様によってはサービスBOMやプロジェクトまで管理しています。
PLMは、大企業ばかりではなく、特にリーマンショック以降のここ十年は、中小規模のメーカー様にも普及が進みました。しかしながら、その必要性について、未だに懐疑的なご意見を耳にすることも事実です。そのため、導入を社内に働きかける説明に苦労している、という話はよく伺います。
そこで、今回はPLM導入の抵抗勢力となる方がよく仰る代表的なご意見を挙げていき、これに反駁する形でPLMの必要性を説明してまいります。
組織階層ごとに視点が異なるので、それぞれの立場から異なる意見が出てくることが一般的です。まず、PLMを直接オペレーションされる設計者ですが、彼らの関心事はもっぱら「自己業務の効率化」です。ですので、システム評価においても機能や操作性、使い勝手といったところに着目されます。
設計者からの代表的な反対意見は、「PLMを入れると余計な仕事が増えるのではないか?」という懸念です。
ただでさえ多忙を極めているうえに、働き方改革で時短要請が強くなっているという背景もあります。また蛇足ですが、PLMのようなプロセス改革を伴う新しい仕組みの導入には、ネガティブな態度を示されるベテランエンジニアが必ず出てきます。
しかしながら、こういった見解は全くの誤解です。
次のチャートは、設計という業務が「さがす」「つくる」「評価する」「伝える」という4つの要素に分類できるということを示しています。この中で、左の2つ「つくる」と「評価する」は純粋にクリエイティブな業務なのですが、右の2つ「さがす」と「伝える」は設計付帯業務と呼ばれる、いわば間接業務になります。
PLMは、この設計付帯業務を飛躍的に効率化することで、クリエイティブな業務に掛ける比重を高めるところに効果があります。
つまり、余分な仕事を増やすどころか、生産性の低い業務に巻き込まれる時間を徹底的に削減し、日々の仕事を楽にするのです。
次回は、部長・課長といった管理職、および経営層の方々におけるPLMの必要性について説明します。