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コラム
※ 本記事は、昨年ご好評いただいたセミナー「いまさら聞けない!PLMって何のため?」をコラム化したものです。
次に、部長・課長といった管理職の方々ですが、彼らの最大関心事は「担当部門の生産性向上」です。
マネージャー同士は、得てして出世争いのライバルだったりもします。そのため極端な例では、全体最適をおざなりにして、独善的な部分最適化に突っ走るようなことも、会社組織では起こり得ます。「総論賛成、各論反対」というシーンは皆さんも目にされたことがあると思うのですが、実はこういった心理が分かりやすく顕在化している事象だったりします。
そんな背景もあって、設計部門長の方から、「これは後工程、すなわち製造や購買のための仕組みじゃないのか」といった声が上がってくることがあります。
PLMの狙いの一つとして、フロントローディングというものがあります。設計段階からQCDを作り込み、初期品質を向上して手戻りを減らすというものです。とても効果が大きい取り組みなのですが、設計部門からすると「単に設計に業務を押し付けるだけの、フロントローディングならぬフロントヘビーなのではないか?」と捉えられてしまいがちです。
しかし、この心配は杞憂に過ぎません。
PLMは、設計部門内の情報共有を促進すると共に、他部門に埋没している有益な実績情報を設計に活用することで、部門としてのパフォーマンス、つまり「組織生産性」を向上する仕組みなのです。ですので、目に見える結果として、設計部門からのアウトプットが飛躍的に増加することになります。つまり、全体のスループットを上げるという全体最適化視点の効果のみならず、設計部門にとっても大きなベネフィットをもたらすのです。
ただし、これを実現するにはPLMとして満たすべきシステム要件がございます。これについては後ほどご説明いたします。
次に経営層の方々ですが、彼らの関心事は言うまでもなく「売上と利益」これに尽きます。
設備投資においても、「売上利益に貢献するのか」といった判断軸から評価します。PLMは、部門横断型のITシステムという特性上、導入に際して経営層の決裁は必須となりますので、役員会議への上申は避けられません。
経営者の方にうまく説明しないと、PLMはとても「マニアックな設計だけの仕組み」に聞こえてしまうことがあります。よくあるのが、業務効率化だけに説明が終始してしまい、「単なる設計の便利ツールじゃないか」という誤解を招いてしまう失敗パターンです。
もちろん、業務効率化や生産性向上は、PLMの大きな狙いの一つです。納期短縮や品質向上など、競合に打ち勝つ「強いモノづくり」を実現します。しかし、良い製品・売れる製品を作っても、儲けが出なければ経営的に意味がありません。
PLMは、きちんと利益を出す「儲かるモノづくり」の実現にも貢献します。「強いモノづくり」と「儲かるモノづくり」、PLMはこの両面で効果を生み出すということを、経営者の方に訴求する必要があります。
ということで、このコラムのタイトルにつながってくるのですが、PLMは何のために導入するのか、その目的は主に次の二点です。
この2つはそれぞれ「強いモノづくり」、「儲かるモノづくり」を実現する上でのゴールを示しています。