【一般公開2024】宇宙開発だけではなかった!|宇宙航空研究開発機構JAXA
こんにちは!図研プリサイトの岡本です。
入社式や入学式もあっという間に過ぎ去り、もう5月も終わろうとしていますね。
今年のGWは中日の有休を取らずに勤務日にした影響もあってかあまり大型連休を過ごした感覚はなく、普段の仕事の感覚にすぐ戻れたのは良かったかなと感じています。
これからどんどん暑くなってくることを考えると気が滅入りますが、今のうちに体力をつけて夏バテ防止を早めに始めておきたいですね。
はじめに
さて今回のテーマですが、タイトルの通り「JAXA調布の一般公開に行ってきた」でお送りいたします!
皆様はJAXAをご存知でしょうか?
(漫画「宇宙兄弟」を読んだことのある方であればもちろんご存知だと思います。)
それどころかもしかしたら「JAXAに納品しているアレコレを作っているよ」という方も中にはいらっしゃるかもしれません。
毎年1年に1度だけ応募者に対し一般公開をしているそうなのですが、今年は申込者数が想定を上回る数だったということで抽選になっておりました。(6,000名程度が上限だったそうです)
普段はガチャガチャでも「5つのうち4つは欲しいな…」と思いながら回すと唯一欲しくなかった1つを引くタイプの私ですが、運良くこの抽選に当選したのでウキウキで行って参りました!
そしてなんとこの一般公開、写真も動画も撮影OKです。
宇宙好きや宇宙兄弟ファンにはたまらないですよね。
もちろん一般人が入ってはいけない敷地や建物はしっかり区切られておりますので、あくまで撮影可能なのは公開されているエリアのみです。
今回はそんなJAXA一般公開で私が「これいいな」と思い撮影したものと、それについて簡単に調べたことを紹介していくお裾分け記事となっております。
宇宙開発だけじゃないJAXA
早速、スマホで撮影した写真をお見せします!
JAXAは宇宙に関することだけを研究しているのかと思いきや実は様々な研究分野を持っており、今回は航空技術部門をメインに回ってきました。
「職場?JAXAだけど」って言ってみたすぎます。
JA21RH
機体に刻まれているJA21RHとは実験用ヘリコプタBK117C-2の機体記号だそう。
こちらの実験用ヘリコプタは「川崎式BK117C-2」という型式で、この機体は岐阜県の川崎重工業さんにて製造されたそうです。
窓が横長でかわいいです。
しかし実験⽤ヘリコプタとは何ぞや?調べてみたところ、JAXA航空技術部門のHPにこのような記載がありました。
>防災・救急分野での活動をより効率的にするための研究や
>ヘリコプタの安全性・全天候運航能⼒の向上や騒⾳低減のための研究を進めており
>旅客輸送等の分野でもヘリコプタを有効に活⽤するための新しい運航システムの実現を⽬指しています。
確かにヘリコプタは飛行機よりも天候の条件が厳しいと聞きますね。
天候が移り変わりやすい山岳での救助においても、「いまだ!」というタイミングを逃さず駆け付けている印象があります。
機を逃さないパイロットの判断能力も格好良い…!
またヘリコプタは狭い場所でも離着陸できることが特徴で、日本の風土に合っているのだそうです。
ドルニエ228(MuPAL-α)
先ほどは実験用ヘリコプタでしたが、こちらは実験用航空機です。
ただ航空機と言っても皆様が普段旅行や出張の際に乗るようなサイズ感ではなく、それこそヘリコプタと同程度かそれよりやや小型なサイズ感です。
MuPAL-αは(ミューパル・アルファ)と読むそうで、多目的実証実験機(Multi Purpose Aviation Laboratory)の略称から「MuPAL-α(ミューパル・アルファ)」という愛称が付けられたのだそう。
こちらの機体について調べていたところ、JAXA所属のベテラン整備士によるドルニエ228についてのミニコラムを見つけました。
こういった背景も知ると余計に感情移入してしまいます。
ベテランのメカニックの方は自分が長く整備を担当し面倒を見ているマシンのことを自分のパートナーや子どものように例えがちな気がしますが、実はこれが結構好きです。
わずかな異音も聞き逃さないようなスキルは、AIではまだまだ到達できない領域ですよね。
MuPAL-αには空中で他の航空機の運動を模擬できるフライ・バイ・ワイヤ(FBW)操縦システムが装備されており、そこに更に実験用FBW操縦システムに地上からの遠隔操縦によって運航する機能を追加し、無人航空機システムの模擬を実現しているのだそうです。
電気信号で操縦を可能とするイメージですね。
またこの技術をベースにフライ・バイ・ワイヤレスという技術も開発されており、現在は飛行機の操縦に必要なワイヤが膨大な量で非常に重くかつ高価なため、ワイヤレス化できた際はコストの大幅な削減と軽量化も行えるのだとか。
我々一般人にも恩恵がありそうな、気になる技術ですよね。
風洞
なんだか映画の主人公になったような気分になれるほど格好良い風洞も見学できました。
と、書いておいてなんですが「風洞って何?」と思いませんか?
私はここで初めて風洞の存在を知りました。
風洞とは?
>航空機や宇宙機が空気中で飛行する際の空気力学的な性質(空力特性)やその周りの空気の流れの現象を
>調べるため、実際の機体を模擬した模型を設置し、そこに人工的に空気を流して、空を飛ぶ航空機や
>宇宙機の周りの流れを模擬することにより、空気力や圧力分布を計測したり、
>機体周りの流れの様子などを調べるための試験設備です。
(「Wind tunnel facilities 風洞設備」 – JAXA航空技術部門 試験設備より引用)
JAXAのスタッフさんにも説明して頂いたのですが、この航空機の翼というのは柔らかくしなるようになっている為、ちょっとした風でも自分の翼のしなりによって風を増幅してしまい、結果暴風を受けているのと同じような状態になり最悪翼が折れてしまうという事態にもなりかねないのだそうです。
飛行中の飛行機の翼が折れたらどうなる?というのは、想像に難くないと思います。
そういったことを防ぐべく風(空気)の流れを調べる試験をこの風洞で行っているのだとか。
ちなみにJAXAには風洞がいくつもありましたが、個人的にいちばん格好良い風洞だったのでこちらを載せてみました。
なお、外観はこのような感じです。(そしてこの風洞は国内で最大規模!)
この要塞感!巨大感!
なんだかアップグレードされた新装甲のアイア〇マンが出てきそうな雰囲気でとてもテンションが上がったのを覚えています。
ちなみに中に入ると声がすごく反響していました。
JAXAに限らず航空技術部門では「空気の流れを把握する」ということが非常に重要なようで、ダンボールで手作りされた箱型の空気砲のような装置を用いて煙っぽい空気を撃ち出し、特殊なライトで色をつけて可視化するという体験スペースも用意されていました。
これは簡易的な装置ですが、実際の試験では航空機全体にどんな空気の流れが生じているのか可視化できると思うと、このライトのような装置を開発した人もすごいですね。
子どもたちに紛れるのは少し恥ずかしかったですが、やってみて良かったです。
ちなみに日頃これらの試験を行う「空気」ってそもそもどこにあるの?とも思いませんか?
もちろんこれもJAXA敷地内にあります。
もう一切の無駄がありません。ただひたすら空気がこのボール状のものに詰まっています。
ちょっとかわいいです。若干これのフィギュアなんか欲しいです。
月惑星探査ローバ
最後になります。やっと宇宙感のあるものが出てきました。
月や惑星表面を詳細にかつ広範囲にわたって探査を行うためには、移動探査が必要です。
ローバは広範囲な探査だけではなく、クレータや断崖、地殻が露頭している地域など調べてみたい箇所の探査を可能にします。
また「このローバに人が乗ってキャンピングカーのごとく生活しながら探査できたらなお調査が捗るのでは?」という発想を実現させたのがこちらの有人与圧ローバです。
なんと車体はトヨタ製!タイヤがついていますが、要は宇宙船なわけです。こんなロマン溢れるものまで作っているとは知りませんでした。
ちなみにこちらの有人与圧ローバ、トミカも出てます。
実は月の地面というのは物凄く細かい砂のようなものが多く、普通のタイヤで走ると土煙から砂が部品に入って故障の原因になるのだそうですが、こういったことを防ぐために特殊な軸も開発されているようです。
(スタッフさんの説明を聞いていたら写真は撮り忘れてしまいました)
実際に見せてもらいましたが、アイア〇マンのコアみたいな見た目をしていて格好良かったです。
そのほかにもJAXAでは宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去の為の活動も行っており、研究開発や探査の他に宇宙、そしてひいては地球を守ることに繋がる活動もされているようでした。
スーパーコンピュータも見ることができ、半日いましたが時間(と足の筋力)が足りないと感じるほど充実していて非常に面白かったJAXAの一般公開、ぜひ皆様も行ってみてください!
おわりに
JAXAの魅力、少しだけでもお伝えできましたでしょうか?
名前は聞いたことがあるけど実はよく知らなかったという方も多いと思いますので、知るきっかけになっていれば幸いです。
※JAXA各事業所での一般公開についてはこちらをご覧ください
(https://fanfun.jaxa.jp/event/special-exhibitions/index_j.html)
この一般公開、JAXA研究施設内に入れることや展示・模型を見ることが出来るだけでも楽しいのですが、何より要所要所でアテンドしてくださるJAXA職員のスタッフさんが非常に生き生きとされていて、説明の時も楽しそうであったり、本当は物凄い難しい技術であろうことを一般人にも分かりやすく嚙み砕いてデモンストレーションしてくださったりと、誇りと熱量を持って働いている姿を見られたのもとても良かったです。
何においても自信を持っている姿や誇りを持っている人は格好良いですね。
また2030年~2040年頃を目途に超音速旅客機の開発も進んでおり、これが実現すると東京⇔大阪間が片道30分、日本⇔欧米間が6時間程度にまで短縮される見込みで、旅行のハードルが下がることによる経済の活性化や災害時の様々な対応の迅速化、エコノミークラス症候群のリスク低減などが期待されているようで、こちらも楽しみですね。
ただの体験記がちょっとしたコラム並みに長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!
少しでも息抜きになっていれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。